『薬屋のひとりごと』における「恋愛システム」と「文化システム」/大町綾音
さと誠実さを体現している。
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II. 綾音の見抜いたジンシ像──“脱ヒーロー”としての美形男子
一方で、ジンシという人物は、いかにも少女マンガ的な王子様像を持ちつつも、それを脱構築する存在である。
綾音によれば、ジンシの構造はタキシード仮面や伊集院少尉(『はいからさんが通る』)にまでさかのぼる、少女文化における“理想的だが手が届かなくもない”男性像の変奏形である。だが、ジンシは従来のような“万能”ではない。天然ボケのような言動やマオマオに対して一方的に振り回される姿は、むしろ「脱ヒーロー化された男性アイドル像」の象徴といえる。
このようなジンシ像の人気は、
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