百葉箱のなかの祈?書。/田中宏輔
ようだ。
ひからびた岩には水の音もない。
(エリオット『荒地』?・埋葬、西脇順三郎訳)
水の流れる音を聞くために、
(G・マクドナルド『リリス』42、荒俣 宏訳)
私は眠りもやらず書物に向かってすわりすごした。
(ヘッセ『飲む人』高橋健二訳)
ダイアン・アッカーマンの『感覚の博物誌』第四章に、「poet(詩人)という言葉は、もとをたどれば小石の上を流れる水の音を表すアラム語に行きつく。」(岩崎 徹訳)とある。これを読んで、出エジプト記の第十七章を思い出した。エジプトから逃れて荒野を
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