氷河の朝/ホロウ・シカエルボク
でも長く生きているとその考えが間違っていることがわかってくる、違う生きものなのだ、こいつらと自分は、悩んだ時期もあったけれど、あるところでそれは吹っ切れた、違和感として生まれたのなら違和感として生きるしかないのだ、違和感を否定する連中よりはずっと健全だった、あんな窮屈な物差しの中でよく楽しそうに生きていられるな、とずっと不思議だった、でもそれも段々とわかってきた、結局のところ彼らは何も考えてはいないのだ、大衆の上空に漂う雲みたいなイデオロギーを何の疑いもなく受け入れてそれだけを信じて生きて来たのだ、あらゆる価値観の基準がそんな曖昧なものに委ねられていて、自分で判断することをしない、俺はそれをおぞま
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