氷河の朝/ホロウ・シカエルボク
それに気づいた瞬間、俺は1人でしか生きていけないのかもしれない、そう思うとなんだか自分のことが酷い欠陥を抱えた人間みたいに思えて来た、でもそれを悲しいと思ったりいらだたしく感じたりするには俺は少し冷め過ぎていた、思えば小さなころからそうだった、俺という1個人は本当はどこか別のところに存在していて、俺はそいつの基本的な部分をコピーした簡易的なクローンなのではないかというような思いをずっと抱えて生きて来たのだ、周りの連中がとても無邪気に感情をあらわにして暮らしているのが不思議で仕方が無かった、本当は皆そんな思いを抱えて皆用の自分というキャラクターを演じているのかもしれない、幼い頃はそう思っていた、でも
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)