氷河の朝/ホロウ・シカエルボク
 
は弾み、響く、そういや昔、実家の近くで建設途中だった山中の誰も来ないトンネルの中を歩いたことがあったなと思い出す、トンネルは抜けていたけれど、その先の道がまだ作られていなかった、だから何も気にすることなく歩くことが出来たのだ、あれは奇妙な体験だった、世界に自分だけしか存在していないのではないかとさえ思えた、あまり公に口にするのは憚られるが、俺には昔からそんな願望がある、ウィル・スミスの映画でそういうのあったじゃん、「アイ・アム・レジェンド」だったかな、まあ、ゾンビと闘うのは御免だけどね、世界中にただ一人なんてきっと、毎日をご機嫌で生きられるに違いないよ、そんなことを考えながら97点の目玉焼きを皿に
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