音遊び日記/鏡文志
ため時に忘れていく必要が、ある
新鮮だった風景が慣れ、褪せていくことが哀しい
洗濯機に放り込まれ、かき混ぜられる 汗ばんだシャツの音
それは『じゃあ』
車内でも、私はメモを辞めない
芸術は総合知であるため、日常を脅かすぐらい生活に入り込んでくるのは仕方がない
ハッとして書き留め
核心に触れる洞察と、獲物を追うその靴音
映画のように、ドラマティック
タイプを打つ指の音
それは『タップ』
社内では、男同士で男と女の話で盛り上がる
カタツムリやナメクジが這う、壁づたい
人間も亀虫も、きっと浮気するのよ
外で降っている雨の音
それは『フリン』
昼食を食べ、清水の
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