四月終わりのメモ/由比良 倖
来ないだけで。仮に今すぐ百億円を貰ったとしても、僕はほんの少しも幸せにはなれないだろう。僕の持ち物や外面がいくら改善されても、それは僕自身にはあまり関係が無い。
今の自分が嫌いだ。でも、かと言って将来どうなりたいか、具体的なヴィジョンを何も持っていない。近い内に死ねばいい、と思うことは逃げだろうか。何から逃げているというのだろうか?
僕が何故生きているかというと、自分を捨てたくないからだと思う。死ぬくらいなら自分を取り戻したい。僕は来世を信じていないし、死後の永遠も信じていない。現世の快楽主義も信じていないし、刹那的な快感を重ねて行くことなんて、考えただけで疲れる。財産とか称賛とか自分が特
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