四月終わりのメモ/由比良 倖
 
か、地殻変動でも起こることを祈るしか毎日をしのぐ方法が無い。僕は穴の底でネズミや毒虫に纏わり付かれ、自分を傷付けることで恐怖を誤魔化し続ける。祈りと願い、呪いと悪夢。
 病的な時間は半永久的に続く。見上げる風景や、過ぎていく人々がみんな、悪い夢のようにしか見えない。永久の中には奇跡もある。助かったら助かったで苦しい記憶はすぐ忘れて、役に立たない教訓だけが残る。
 正しい選択の連続が、正しく幸せな人生に繋がるとは限らない。人生は選択の連続ではなく、偶然のどうしようもないことの連続だから、人の成功体験は宛てにならない。心の持ちようは心に裏切られ、時間自体が病んでいく。結局は自力で手に入れられるもの
[次のページ]
戻る   Point(2)