四月終わりのメモ/由比良 倖
外国人は外国語の世界の中で。
感情表現だけを取ってみても、「辛い」とか「悲しい」という言葉で、僕のこの本当の辛さや悲しみや苦しみが表現できるわけじゃないし、本当に辛いときには、日本語にネガティブな心情を表す言葉が少ないことにがっかりする。口癖みたいに辛いとか苦しいとか死にたいとか言ってても、共感とかは全然得られなくて、いっそ地球上の空気が稀薄になって、皆が呼吸困難に喘ぐようになればいいのに、と願ったりする。精神的な苦しみは、実際命に関わる苦しみだから。
今すぐ死にたい衝動……絶望に落ちるのは一瞬でも、そこから這い上がることは自力では不可能にしか感じられなくて、助けてくれる手の存在とか、
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