四月終わりのメモ/由比良 倖
 
の全ての扉が開くとき、自愛も他愛も無いけど全てが愛であるとき、自失状態に完全に陥ったとき、ナチュラルハイの中で、性欲や人間関係や、くだらない暇つぶしよりもずっと楽しいことがあると気付いたとき、僕は変容していくし、音楽と言葉が存在する世界に生きている幸せを惜しみなく感じる。そういう、トランスっぽい時間に入れることは本当に本当に稀有だけど、段々その場所に、近付いていると感じる。昔は、ひとりの時間には、いつもそこにいた。そこから見れば、人間世界のドラマの数々も楽しくて、人たちの感情の渦中でぐるぐる回っている自分も含めて、とても美しいと感じる。みんな形の無い幸福を探してる。日本人は日本語の世界の中で、外国
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