四月終わりのメモ/由比良 倖
ッドホンでストーン・ローゼズを聴いている。
他には何をしているかと言うと、読書をしている。書いている。ギターを弾いたり、歌ってる。考えてる。他には何もしない。退屈という言葉は、実感したことが無いので、よく分からない。
ウォークマンに電源ケーブルを繋いだまま聴いていると、コンセントを通して、遠い発電所と繋がっていると感じて気持ちいい。僕の部屋の電気は、原子力発電所で作られているらしい。百キロメートル向こうの、青白い核分裂。そして三十五年前のストーン・ローゼズの演奏。ギター、ドラム、ベース、ヴォーカル。世界には何ひとつ断絶が無い。全ては電線と光ケーブルで繋がり合っている。眼には見えない配線でス
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