理由が知りたいけれど/ホロウ・シカエルボク
 
を終えて、駅前の電化店で買った充電コードをスマホに差し込んで、何本か買っておいたペットボトルを飲みながらひと息ついた、時刻は夕方で、ローカルニュースをやっていた、どこそこの神社で春の恒例神事とか、そういうニュース…幼いころから知らないところへふらふらと歩いていくのが好きだった、歳を取れば落ち着くのかと思っていたが全然そういうことはなく、むしろ距離も日数も悪化した、知らない土地に行ってビジネスホテルに宿を取り、一夜を過ごす、本来は自分が存在していない街、本来なら自分が存在していない夜の中で―旅は自分自身の存在が希薄になる、まとわりついてくる日常というものが一切存在しなくなる、幽霊にでもなったかのよう
[次のページ]
戻る   Point(3)