理由が知りたいけれど/ホロウ・シカエルボク
 
ような自由がそこにはある、そしてそんな感覚の中で、いつもは感じることの無い剥き出しの自分を目の当たりにする、ホテルの部屋には巨大な姿見がある、そこに写った自分は人生で一番正直に見える、旅をするように人生を生きることが出来たら幸せだろうな、そんな風に思うこともある、まあ、そんな話を長々としても仕方が無い、ニュースが終わったら少し街を歩く、本屋を覗き、CDの店を覗く、どこに居ても行くところは変わらない、珍しいCDを一枚買う、それで旅行としてはお終いだ、観光地やイベントなんかに出掛けたことなど無い、旅とは知らない場所でどこかに泊まることだ、個人営業の古めかしいレストランで食事をする、初老の店主がひとりだ
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