答えが見つからなくても少しだけ/足立らどみ
 
うに、多様な価値観の集積から世の中の知恵が生まれます。詩中では、一見孤高に見える詩人自身も「多様な人々」の影響を受けていることがうかがえます。意見や価値観が違う他者の存在を素直に認め、その中に自分と共鳴するものを探す謙虚さは、成熟した民主的市民の姿勢と重なります。古くはアリストテレスも「人は本来的に社会的動物」であると述べていますが、それは互いに学び合い、議論し合ってこそ人間の知恵が深まるという意味でもあります。詩人が遠くから世界を見つめつつも、広い視野で様々な意見を受け入れ学ぶ姿勢は、民主主義を下支えする態度と言えましょう。

「こんな人生で良かったのか」という自問の哲学

最後に、「こ
[次のページ]
戻る   Point(4)