答えが見つからなくても少しだけ/足立らどみ
 
「こんな人生で良かったのか」という自問には深い哲学的含みがあります。振り返って自らの人生を問い直す行為は、まさに哲学の世界そのものです。キルケゴールの言葉を借りれば、「人生は後ろ向きにしか理解できないが、前向きにしか生きられない」 わけで、過去の出来事を全て今になってようやく理解しながらも、あくまで前へ進むしかないのが人間の宿命です。このような問いは、たとえばアリストテレスの「幸福(人間の究極目的)」や、現代で言えばサルトルの「実存主義」にも通じます。過去に悔いや後悔があったとしても、それをただ嘆くのではなく、現在と未来にどう生かすかを考えることが大切です。後悔先に立たずとは言いますが、その経験を
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