此処であり、何処かでもある/ホロウ・シカエルボク
 
勢いにかまけ過ぎて他のことが見えなくなっていたのだ、もちろんいままで書いてきたものも満足感が無かったわけじゃない、でもそれはもっと簡単なものだった、一時間踊ってすっきりした、なんていうのと同じ種類の解放感だ、もちろんそうしたスタイルでこそ描き出せるものもあるだろう、でも俺はいつからかそれでは満足出来なくなった、そんな気分とは裏腹に肉体は躊躇なく次を書こうと逸る、そう、もう次は違うものを書かなければ、スタイルを売りにするだけのものになっちまう…試行錯誤を繰り返すうちに朧げにわかるようになってきた、掴み始めるとあとは早かった、水門が一気に開かれて水が溢れ出るように俺はひとつコマを進めた、それは昔自分の
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