肉体と精神を失った日本人/室町 礼
いうフレーズが飛び交い、
村上がわからなかったら文学がわからないみたいな
ことまで言い出す批評家や思想家が多いのだけど、
余計なお世話だ。
あなた、山手樹一郎を読めますかな。
コップ一杯の水を一口、二口飲むことはできても、
全部飲み干して
その後も何杯も飲むことができるだろうか。
ビールなら出来るが水はむつかしい。
山手樹一郎の小説を読むということはそういうこと
だ。水を延々と飲む。それほどきついはなしだ。
生涯800冊の時代小説を書いているがストーリー
や登場人物などみな同じ、わくわく感ゼロ、思想性
ゼロ、物語性ゼロ、水を飲むように何も無い物語が
小川のように流れてい
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