砂の城の考察 #3/まーつん
 

 そうとは限らないと思うが、と私は思った。良心の呵責を覚えながらも、やむを得ず犯罪に至ってしまったケースもあるだろう。教育やしつけと無縁の世界で生きてきたものもいるはずだ。

「刑務所という施設を発明した奴は、言葉の無力さを知っているからこそ、隔離によって思い知らせるという方法を思いついたわけだ」と、男は言った。

私は独房のように薄暗い部屋で、この文章を書いていた。私の指に囚われて、がりがりと引っかくように、皺だらけの紙の上で踊る鉛筆が、筋の通らない主張を綴っている。窓から射す曇り空の光は、漂白されたように冷たい。珍妙な乱入者が、私の背後に椅子を置いて腰かけた気配には、全く気が付か
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