既存意識の全否定から始めては?/室町 礼
 
って黒船が来航したからといって小説や映
画のように慌てふためくようなことはなく、
実務担当責任者であった老中首座の林復斎
(はやしふくさい)は毅然としてペリーと渡
り合っています。
日本中がひっくり返るほどの大騒ぎなどとい
うのは大嘘で、幕府はオランダの情報網を通
じて半年前から米国の来航を予見しており、
よって米国に対する準備は万端だったわけで
す。残存する一次資料(『重訂御書籍来歴志』
など)をみる限りひとつも動じていません。

ところで米国特使ペリーの日本に対する通商
協定締結要求は他のアジア諸国には一切行わ
れておりません。前にもどこかで書きました
がアジア諸
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