ホーム・カミング/ホロウ・シカエルボク
 
れど、カウント3を待つことも無く俺はそれを手に入れたのだ、とはいえ、そこに至るまでに一晩の不眠を潜り抜けているわけだから、もしかしたらそれは早過ぎるのではなくて遅過ぎるのかもしれない、でも一日の眠りの定義など誰に決めることも出来ない、近頃はいろいろなことが多様性という言葉で片付けられるみたいだし―二時間は眠っただろうか、夢の中で何か大事なことを思い出した気がして反射的に目を覚ました、折角思い出した出来事は捕まえる前にまた手を擦り抜けてどこかへ行ってしまった、遥か昔のことなのは間違いなかった、次に思い出すのはいつになるんだろう、あまり記憶の水面に浮上してこない事柄であることは間違いなかった、それだけ
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