花/201
小さな子供、と思ったが、自分と比べて物理的に小さい、というだけで、
人間としてはもう大人として扱われていい頃なのかもしれない。
生き物の年が分からん、と腕組みして空を仰ぐ。そこに空は、見えないんだけれども。
子供は、まるで生まれて初めて花を見たみたいに、はしゃいで喜んでいた。
自分にとってはいつもの光景だから、雨が降って来るのと同じで、子供の様子もなんだか鬱陶しいなと思う。
それを春だと教えたのも、誰でもない自分だった。季節が巡るたび、人が生きたり、死んだりする。
別に誰が頼んだわけでもない。
花びらをかき集めて、山のように積み上げ、それから持ち上げてまた落とす。
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