Lark's Tongues in Aspic。/田中宏輔
に二十八歳になった僕は、まだ誰にも知られていないのだ。
(リルケ『マルテの手記』第一部、大山定一訳)
二十八歳にもなつて、詩人だなんて云ふことは
樂しいことだと、讀者よ、君は思ふかい?
(フランシス・ジャム『聞け』堀口大學訳)
いま、ぼくは、二十八歳じゃないけど、詩を書きはじめたのは、二十七、八歳のときだった。それに、また、たしかに、名前も知られていなかったのだけれど。
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あの『世界名作劇場』のパロディーで 彼女は七十歳になる病弱な老婆である。
『世界迷惑劇場』というのである (ポオ『マリー・ロジェの謎』丸谷才一訳、句点加筆)
自分の母親でも
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