砂の城の考察 #1/まーつん
 
な会話など、多かれ少なかれ、そこに誰かの心象が含まれた言葉の集合だ。心象とは抽象的で、つかみどころがない。それで筆者は砂粒に例えた訳だ。

そもそも砂粒は、互いに引き寄せあって何かの形を形成する性質など持ってはいない。いや、持っていないわけではないが、すべての物質には引き寄せあう性質があるとしても、少なくとも、砂粒のように微細な存在が、この星の重力に抗って、互いに引き合うほどの力は持ち合わせていない。だが、風や水に掃き集められ、どこかの波打ち際で、無垢で幼い手によって、何らかの形に押し固められることはある。同じように、何らかの想いというのもまた、精神という、無数の粒子の集合体が、一時的に形成し
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