「強さ」の研究/室町 礼
 
調というのは一度かかると中々もとに戻らないらしい)
でも50名ほどいた収容児童のだれ一人として、じぶんが
弱い存在だなんて思っていなかったことは断言できます。
運が悪い(存在だ)と思っていたやつは多くいただろうし、
お母さんがいないのが腹が立つと泣いた子もいましたが、
「弱い存在」だなんてまったくだれも感じていませんでしたね。
わたしも、社会的には運のない損な境遇にあることはわかっても
「弱い存在」だなんて毛ほども感じたことはありませんでした。
もちろんその逆の「強い存在」とも思ったこともなく、
いずれにせよ「弱い」「強い」などというカテゴリーがわたし
たちの意識の埒外のもので
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