3月初めのメモ/由比良 倖
と書いていることが出来た。今は書けない。本当に十年以上、僕は何にも書けた気がしない。何が好きなのかもよく分からなくなっていた。
眠れないけど、ちっとも眠くない。横になると情報がぐるぐる回って、身の置き所が無くなって、僕の身体も情報の渦に巻き取られそうな感じがする。椅子に坐っている方がずっと楽だ。母にはコーラを買ってきてもらった。しばらくコーラだけで生存していたい。糖分さえあれば、僕は十分生きていける。
今は薬を飲んでいる。だから元気だ。薬に生かされているような気がする。頭の中に弱々しい充電池があって、薬は少しだけ僕を充電してくれるけれど、満充電には決して届かない。常に切れ切れで震えるみ
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