谷川俊太郎の「孤独」の現代性について/岡部淳太郎
り、そんな彼から見ると谷川俊太郎の詩は「とても遠いところからやってきた」と感じられるほどに距離のあるものだったのだ。
そう思って見ると、詩集『二十億光年の孤独』にある感性は現代的だ。表題作「二十億光年の孤独」にある「火星に仲間をほしがったりする」は言うまでもない。その詩にある「ネリリし キルルし ハララし」といった語彙もそうだ。さらに言うならば、宇宙空間における距離を表す「光年」という言葉は日本の伝統的な「イエ」の制度に留まっていては絶対に出て来ないものだ。
谷川俊太郎はこうして現代的感性を持って登場した。そんな彼がさらなる現代性を示したのが詩集『夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった』
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