谷川俊太郎の「孤独」の現代性について/岡部淳太郎
 
 詩の言葉というものは時代を映し出す、そのことは谷川俊太郎の詩を見るとよくわかる。よく知られているように、谷川俊太郎の第一詩集『二十億光年の孤独』は三好達治の序文を付して刊行された。現在長期入院中で資料を確認出来ないため記憶に頼った記述になるが、「この若者はとても遠いところからやってきた」とか、そんな感じだったように思う。三好達治といえば、第一詩集『測量船』巻頭の「雪」が有名だ。あの詩にあった「太郎を眠らせ太郎の屋根に雪降りつむ/次郎を眠らせ次郎の屋根に雪降りつむ」といった詩行は、日本の伝統的な「イエ」の制度が前提になっているのは明らかだ。つまり、三好達治とは古来の伝統的な感性を持つ書き手であり、
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