NWSFピカレスク・ロマン(スピンオフ小咄)『もぐら國王』?、付録つき/?任勇梓 Takatoh Yuji
 
だつた。宿で出た、これも鄙びた田舎料理は、國王の口には合はなかつたのだが。ふと足を延ばして、イノシシ鍋を出すと云ふ、ドライヴインに立ち寄る。肉・肉・肉。何故だかいつも肉を慾してしまふ。この巨體が惡いのだ。だが俺の精神はヴェジタリアンのやうに純眞なのだよ、わつはつは。


【?】

 余りに仕事を簡單に片付け過ぎた。次の仕事への橋渡し、まあ閑潰しと云つてもいゝだらう。國王は、或る「賭け」に乘つた。
 こゝ西東京、都下と云へるだらう、から、群馬県某市まで、トンネル堀りのレースをしやうではないか、その男らは云ふ。だうやら彼らは(飽くまで生身の人間として、なのだが)「トンネル堀り名人」の集團ら
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