NWSFピカレスク・ロマン(スピンオフ小咄)『もぐら國王』?、付録つき/?任勇梓 Takatoh Yuji
 
團らしく、人間の叡知と、國王の「超能力」(彼らにしてみれば、さう云ふ表現に、だうしてもなる)と、どちらが早くトンネルを築けるか、競争だ、と。
 一千萬の供託金を互ひに出し合ふ。勝つた方が総取りだ。こんな、身許が危ふくならぬ安全な仕事で、一千萬は、ボロい儲け。國王には、勝つ自信があつた。
 立會ひ人の、用意スタート、の空砲が鳴る。國王、余裕の面持ちで、トンネル堀りヴァージョン、大もぐら姿になつた…。


【?】

 だが、國王、一つ二つ見過ごしてゐた事が、ある。彼はやはりおつちよこちよい過ぎる。
 一つには、かうも國王の樂勝が約束されてゐるレースを、何故にかの「トンネル堀り集團」は持
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