NWSFピカレスク・ロマン(スピンオフ小咄)『もぐら國王』?、付録つき/?任勇梓 Takatoh Yuji
 
は持ち掛けてきたのだらうか、と云ふ事。それから二つ目は、彼らの後ろ、バックに付いてゐる「組織」の影を、國王は検分してゐない、と云ふ事。要するに、叛社には叛社を、と云ふべきか、彼らの實體は、と或るヤクザ組織なのだつた。


【?】

 レースはあつさり片が付いた。予想通り、國王の樂勝だつたのである。
 然し…、カネは降りては來なかつた。ヤクザが、その姿を現はし、因縁をつけてくる。「人間が通れるやうなトンネルぢやないと、勝ちとは云へんのだよ、國王はん」バール振り翳し、暴れてやらうか、だが銃を持つてゐる彼らは、正直怖い。
 嗚呼、俺の間拔けめ。かうなりやヤケだ。一千萬の丸損の分、暴れてやる
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