空はどこまでも白く/由比良 倖
に感情なんてない(多分、ふつうのいみでは)。私には愛なんてない。
五時間ほど眠っていたらしい。
死は、個人的。私は、ずっと死にたいと思ってきた。生きたい、と初めて思ったとき、私はもうすぐ三十歳で、ベッドの上でこれからの誤謬の無い時間に向かって飛び起きたくなった。三十歳! あと? あと何百年生きられても不思議じゃないくらい空気がなめらかで甘くて、そして私は若かった。とても若かった。
ギターはねむっていた。ピアノはゆっくりとあそんでいた。そして私の中では、なにかが、はじまっていた。
私は、いつからかずっと眠っていた。十年間も、二十年間も。多分、その意味は分かってくれると思う
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