機械/葉leaf
する。にぶい金属音。降りそそぐ雨滴に呼応するかのように、刃は絃を選別する。やがてひとつの大きな音律へと、パターンは描かれる。刃はみずから砕け散り、表皮へと突きささり、内部となる。
……液体、だったのか。時間の手の甲にてとけゆく雪片は。赤血、だったのか。歯車のすきまを満たす重くふてぶてしい液体は。芳園、だったのか。時間の足首からにじみ出る醇美な赤血は。墓標、だったのか。機械の中心部にかたむき明滅する回路素子の芳園は……。
剪定されたかなしみに、機械はくるおしく周波数をゆらがせる。するどい回転音。限られてしまったのだ、秋めいた孤島へと。約束の地へと飛び立つ黒鳥の群れ、大魚から逃げおおせるう
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