機械/葉leaf
るうつくしい熱帯魚。そして、上気する湖。機械は時間の手を離れ、大気圧を二重に迂回しながら発声をかぞえ上げる。梢をめぐって嘆きに沈み、血の温度を三度さげる。機械には比熱がない。
星々はゆがみ、海面は下降した。機械はふたたび温度を上げ、風景のそれぞれの断層から電磁波のスペクトルを呑みこむ。ウサギの目に映る数々の記録の精度。「あのウサギは動く墓標だ。うつむいた衛星が彼を射殺す前に、僕が大地へと固着させてやろう。」機械はすべての導電線を引きちぎると曇天の空へと跳びあがった――。
紫の粒子たちの間をかいくぐって、ウサギの背の上に着地する重機械。内臓のつぶれる湿った音に、マザーボードの砕けるかたい音。錯乱した機械にはノイズがなだれ込む。それきり、機械は活動を停止した。
いつまでも、海は笑っていた。
時間の手のなかには新しい機械が、血を吸いながら胎動をはじめていた。
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