地下鉄の思い出/板谷みきょう
 
地下鉄で通勤していた頃
車内で読書して時間を潰していた

頭でっかちだった当時は
精神分析や心理学の専門書を読み
いっぱしの専門家ぶって
臨床心理士達と議論を交わしたものだ

そんな時に言われた
「板谷さんは、ダニエル・キイスの
『アルジャーノンに花束を』を
読んでみるのも良いね。」

早速、紀ノ国屋で
早川書房から出版されていた
ピンク色に花束のイラスト表紙の
ハードカバーを買った

地下鉄車内で読むには
ちょっと恥ずかしい表紙だったので
紀ノ国屋のカバーを付けたまま
読み始めたけれども
ひらかな文にやや戸惑いながら
それでも
すぐに虜になってしま
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