待合室/栗栖真理亜
りとも落ち着かせるために持ってきた単行本にも手をつけず
ただただ佇む
思えば二十年近くあんな職場でよく働いてきたものだ
正社員登用をちらつかせた求人情報に思わず乗っかり
時給制契約社員として働き始めたものの常に重い責任を負わされ
評価次第で給与は不当に減らされ
異議を申し立てればたちまち目をつけられ
私の発言が企業のブランドを傷付けたなどと隙をつけ込まれて懲戒処分となった
立ち上がる気力すら奪われた挙句
まるでトドメを刺すかのごとく
上司を始め周りからは無視され悪口を囁かれ
新しい仕事を私だけ与えられずに雑用ばかり押し付けられ
そのくせ逐一業務に関する行動を監視
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