de verbo ad verbum / nihil interit。 ──大 岡 信論/田中宏輔
ょう。「かりにも作者の名の冠せられた文学作品は、一つの美しい「言葉の変質」なのであ」ると、三島由紀夫は、『太陽と鉄』の中で書いておりますが、ヴァレリーは、さらに過激なことを書いております。「われわれは「言葉」そのものを文学的傑作中の傑作と考えることができないであろうか。」(『詩学序説』「コレージュ・ド・フランスにおける詩学の教授について」、河盛好蔵訳)、「一個の文字が文学です。」(『テスト氏』「ある友人からの手紙」、村松剛・菅野昭正・清水徹訳)、「ある「語」の歴史を考察すべきである、──ある同じひとつの語の歴史、まるで四囲の偶発事に対して「自我」が応酬するとでもいうように、同じひとつの語がいくたび
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