de verbo ad verbum / nihil interit。 ──大 岡 信論/田中宏輔
 
とになるのです。言葉が生まれ変わるときには、ぼくたちもまた、生まれ変わるというわけなのです。言葉はそれ自身が意味するものなのですが、同時にまた、他のすべての言葉に働きかけて、それらの意味にも影響を与えるものなのですから。一体全体、言葉が生まれ変わるとき、それが、ぼくたち読み手に影響を与えないということがあり得るでしょうか。「私たちが本当に知っているのは、思考によって再創造されることを余儀なくされたもののみ」(『失われた時を求めて』第四篇「ソドムとゴモラ」、鈴木道彦訳)と、プルーストは書いておりますが、ぼくも、それが、「魂の中にほんとうの意味で書きこまれる言葉」(プラトン『パイドロス』藤沢令夫訳)で
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