弾丸旅行の目的/おまる
いると言っても過言ではない。
目的地はただ一つ
鰻の名店「みしまや」
柔らかく香ばしい鰻の蒲焼が、旅の疲れを忘れさせるほど絶品だという噂である。
どこか片瀬江ノ島駅のホームを思わせるつくりの駅舎で、
拍子木の乾いた音と、
「みかぐらうた」が響いていた。
古い街並みに溶け込むように、その歌声はやわらかくも力強く、
訪れる者たちを迎える祝詞のように感じられる。
ここがただの観光地ではなく、
日常と信仰が共存する特別な場所であることを物語っている。
冬の冷たい空気が肌を刺す中、
私たちは心なしか背筋を伸ばしながら駅を後にした。
店は当然のように長蛇の列。駐車
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