弾丸旅行の目的/おまる
弾丸旅行の目的は二つ。一つは、京都文学フリマへの参加。
そしてもう一つ...
いや、むしろこの旅の真の目的とも言える“悲願”を果たすため、
奈良のドープシティ、天理へと向かった。
奈良と言えば、悠久の時を刻む寺社や鹿が闊歩する風景や秘境、
柳田國男が活写した土着信仰などを思い浮かべるかもしれないが、
この地には知る人ぞ知る食の名店があまた隠れているのである。
これを食わねば年は明かせぬ……
そんなおもいを胸に、厳寒の冬空の下、電車に揺られながら天理を目指した。
県民だけでなく、全国から食通たちが足を運ぶこの店は、単なる飲食店ではなく、
街の文化そのものを体現している
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