THE GATES OF DELIRIUM。 ──万の川より一つの川へ、一つの川より万の川へと/田中宏輔
 
?」と、シンちゃん。出かかった言葉が、ぼくを詰まらせた。ページをめくると、パチクリ、パチクリ、ウィンクされた。わたしは、わたしの手のひらの上で、一枚の木の葉が、葉軸を独楽の芯のようにしてクルクル回っているのを見つめている。そのうち、こころの目の見るものが変わる。一枚の木の葉の上で、わたしの手のひらが、クルクルと回っている。ページをめくると、パチクリ、パチクリ、ウィンクされた。風が埃を巻き上げながら、わたしの足元に吹き寄せる。埃は汗を吸って、わたしの腕や足にべったりとまとわりつく。手でぬぐうと、油じみた黒いしみとなる。まるで黒いインクをなでつけたみたいだ。言葉も埃のように、わたしに吹き寄せてくる。言
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