THE GATES OF DELIRIUM。 ──万の川より一つの川へ、一つの川より万の川へと/田中宏輔
て凍らされたジャガイモやニンジンたちも、一つのシチュー鍋のなかで、ぐつぐつと煮られる。人間の肉体や精神も同じだ。高校までに習い覚えた国語の知識と、他人の書いたものから適当に言葉を抜き出して引用するという、かっぱらいの技術で、わたしもまた、いま書いている、このような詩稿が書けるようになったのである。「人生とは年月から成り立っているのだろうか、分秒から成り立っているのだろうか」(リチャード・マシスン『人生モンタージュ』吉田誠一訳)。「果物の話はしたかしら?「(ルーシャス・シェパード『黒珊瑚』小川 隆訳)「ぼくが発見したことがなんだか知っているかい?」(トーマス・マン『ファウスト博士』七、関 泰祐・関
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