LET THERE BE MORE LIGHT。 ──光の詩学/神学的自我論の試み/田中宏輔
 
手で触れられるもの、こころで感じとれるもの、頭で考えられるもの、そういったものだけで世界ができているとしたら、そんな世界はとても貧しいものとなるのではないだろうか。しかし、じっさいは豊かである。目に見えないものもあり、耳に聞こえないものもあり、手に触れられないものもあり、こころに感じとれないものもあり、頭で考えられないものもあるということだ。言葉にできないものもあり、言葉にならないものもあるということだ。しかし、そういったものがあるということが、世界を豊かにしているのだ。ただし、これらのものの上に「ただちに」という修飾語をつけて考えておくこと。

 一昨年の暮れのことだった。会うとは思われなか
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