LET THERE BE MORE LIGHT。 ──光の詩学/神学的自我論の試み/田中宏輔
 
なかった場所で、会うとは思えなかった時間に、ノブユキと出会ったのである。八年ほど前に別れたノブユキに。恋人と待ち合わせをしていたのだという。ノブユキの方が早目に来てしまったらしく、少しだけなら話す時間もあるというので、あまり人目に付かない場所に移って、話をした。話をしている間、ずっと強く、ノブユキの手を握り締めていた。瞬きをする間ももったいないという思いで、ノブユキの目を見つめていた。どんなに微かな息遣いも聞き逃すまいと思って、ノブユキの声を聞いていた。その時間はとても短く、あっという間に過ぎていった。別れ際に、ノブユキの方から、電話をするからね、と言ってくれた。ほんとうに、ノブユキは可愛らしかっ
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