LET THERE BE MORE LIGHT。 ──光の詩学/神学的自我論の試み/田中宏輔
 
的でありつづけることは例外的なことであり、ほんもののきわめてすぐれた知性についてのみあり得ることであろう。しかし、なぜ、モダニストたちは、文体や形式にこだわるのだろうか。それは、おそらく、事物や言葉、延いては人間といったものの現実が、それまで存在していた文体や形式によっては表わすことができないと彼らが思ったからであろう。ニーチェのことを本稿の冒頭にもってきたのは、筆者が彼のことを二十世紀最大のモダニストであると考えたからである。あるいは、こう言い換えてもよい。モダニストたちの父であった、と。たとえ、彼の思想が直接に反映した作品が作られていなくても、「価値転換」という思想が、モダニストたちの精神に与
[次のページ]
戻る   Point(9)