俗・西遊記/栗栖真理亜
として山が動き出した。
可愛そうに、その侍従は大きな揺れのせいで足を滑らせ頭から転落した。
私が毎夜撫でていた、あの愛しい頭はぱっくり割れ、中身が無残にも飛び出してしまったのだ。
我々はただもうどうすることも出来ずに立ちすくむばかり。
すると、今度はどこからともなく大きな怒鳴り声が地響きとなって伝わってきた。
『おい!!俺様の居眠りを邪魔するヤツはどこのどいつだ!!』
腰をぬかさん張りの大声で我々を脅すものだから、しばらく誰も口が利けない有様だった。
しかし、ここは勇気を振り絞って言い返せねばならぬ。
わたしはえいやっとばかりに勇気を奮い立たせて大岩に負けぬぐらいの大声で言い返して
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