俗・西遊記/栗栖真理亜
 
うじゃ。それを何としても手に入れたい。いますぐにじゃ。そちならできるな?」
そう期待をかけられては断る理由もない。
しかも、任務を果たした暁には、しかるべき名誉と思い通りの地位に据えさせてやるというのだ。
こんな上手い話はない。
私は二つ返事で承諾した。
まず、天竺まではかなりの道のりであるから、出発するとなればたいへん険しい旅となること。
長旅に備えるのには充分な金や食料品、衣服、それらを運ぶ人員などが必要となること。それらの用意さえ準備されていればいつでも出発できる旨を王に伝えた。
王は「秘伝の書がわが手に入るならば喜んでそれらの物をすぐ手配させよう」と固く約束してくださり、再び
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