俗・西遊記/栗栖真理亜
をお撫でになった。
私は小首をかしげて、「王の欲しいものと言いますと?」と尋ねてみると、「ここでは言えぬ。どうだ?特別な間を用意させたから、そこで話してやるが?」と王は仰り、私をその特別の間とやらへと誘われた。
王と私はそこで身分を忘れ有意義な時間を過ごし、心身ともに疲れ果てたときに、王はやっと口をお開きになった。
「そちは世間には言えぬ秘密を持って居るが、朕だけがその秘密を知っておる。もちろんこれからも誰からも知られずにその秘密は朕の胸のうちにおさめておこう。解ったな?」
王のその言葉を切って私はハラハラと涙を零したもんだ。
「何と嬉しきお言葉でしょう。このようにご寵愛を受けながら、な
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