俗・西遊記/栗栖真理亜
ほどニコニコ笑いながら、私の様子を見守る態を装った。
仕方なしに私は馬の背に飛び乗って居心地を確かめてみる。
確かに乗り心地は悪くない。
馬も突然暴れだすということもなく、手綱を引っ張りゆっくりと周遊してみても、大人しく言うことを聞いてくれている。
私はこの馬をすっかり気に入ってしまった。
「よし。この馬に乗って旅してやろうではないか」
私が意気揚々と胸を張り、そう宣言してやると、猿は嬉しそうに手を叩いた。
「それは良かった。旅に頃合いの乗り物が見つかって良かったですね、師匠」
私は猿の猿知恵に気付くことなく大きく頷いた。
猿知恵の中身である、この馬の正体が露見したのは、烏斯
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