俗・西遊記/栗栖真理亜
映えて輝きを放ち、沁みひとつない真っ白な体はまるで雪のようで、溶けてしまいそうだった。
その馬を一目見るなり、孫悟空は駆け寄り、馬の背を撫でながら私のほうを振り返って言った。
「お師匠(この猿はいつの間にか私をこのように呼ぶようになった。)、こんな立派な馬は見たことありませんや。どうです?この鬣(たてがみ)といい、足腰の筋肉といい、立派なものをもっているじゃありませんか。これならお師匠をお乗せして道中練り歩いても差し支えありませんや。ちょうどお師匠も長い道のりで歩き疲れているでしょう?試しに乗ってみてはいかがです?」
猿はいつの間にか私の手を引っ張って手綱を握らせたかと思うと、気持ち悪いほど
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