俗・西遊記/栗栖真理亜
 
れで私の秘密を知られる心配はひとまずなくなった。
後はどうにかしてアノ妖怪から逃れるだけなのだが、アノ妖怪のほうはどうしても私を手放そうとはしなかった。
おまけに傷口が癒えて旅立つときになってから、何が何でも自分をお供に加えてほしいと頼み込んできた。
それが釈迦如来の意思なのだからと。
仕方なく私は孫悟空という妖怪を共に加えることにした。
逆らってまた暴れだしたら堪らないからだ。
そして私は妖怪一匹引き連れてまたもや西へ西へと向かって行った。

蛇盤山の鷹愁澗まで来たとき、一頭の白馬が私たちの目の前に躍り出た。
風になびく鬣(たてがみ)は揃って美しく、隆々とした筋肉は日の光に映え
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